ロコモ度テストで現状確認:自宅でできる簡単なチェックリスト
足腰の衰え、気になりませんか?
最近、立ち上がるときに「よっこいしょ」と声が出てしまったり、少しの段差でつまずきそうになったりすることはございませんか。年齢を重ねると、体の変化は自然なことですが、もしかするとそれは「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」のサインかもしれません。
ロコモとは、運動器(骨、関節、筋肉など体を動かすための器官)の機能が衰えることで、立ったり歩いたりといった移動能力が低下し、将来、介護が必要になるリスクが高まる状態を指します。しかし、漠然とした不安を抱えるよりも、まずはご自身の体の現状を知ることが、健康寿命を延ばすための大切な一歩となります。
この記事では、ご自宅で簡単にできる「ロコモ度テスト」について詳しくご紹介します。ご自身の体の状態を把握し、早めの対策を始めるきっかけにしていただければ幸いです。
ロコモ度テストとは何か
ロコモ度テストは、日本整形外科学会が推奨する、ご自身の運動器の状態を簡便にチェックできるテストです。特別な器具や専門知識は不要で、ご自宅でいつでも気軽に行うことができます。このテストを通じて、ご自身の移動能力がどの程度なのか、ロコモの兆候がないかを確認することができます。
ロコモ度テストには、主に以下の3つの項目があります。
- 立ち上がりテスト:下肢の筋力を測ります。
- 2ステップテスト:歩行能力やバランス能力を測ります。
- ロコモ25:運動器の痛みや生活上の支障を自己評価します。
これらのテストを総合的に評価することで、ご自身のロコモの状態をより正確に把握することにつながります。
自宅でできるロコモ度テストの具体的な方法
1. 立ち上がりテスト
このテストでは、椅子から片足または両足で立ち上がる能力を評価し、下肢の筋力とバランス能力を確認します。
【準備するもの】 * 高さ40cmの安定した椅子(座面が柔らかすぎないもの) * 壁や手すりなど、必要に応じて体を支えられる場所
【テストの手順】 1. 椅子の高さの確認: 椅子を壁につけるか、安定した場所に置き、倒れないように固定します。 2. 座る姿勢: 椅子に深く腰掛け、両足の裏を床につけます。お尻が座面から少し浮くくらいの足の位置に調整します。 3. 両足で立ち上がる: 両腕を胸の前で組み、反動をつけずに、ゆっくりと両足で立ち上がります。膝が完全に伸びた状態まで立ち上がり、安定したら、ゆっくりと座ります。この動作を繰り返します。 4. 片足で立ち上がる: 両足で立ち上がることができたら、片足(例:右足)を上げて(膝を90度曲げる)、残った足(左足)だけで立ち上がります。これも反動をつけずに行い、立ち上がれたらゆっくりと座ります。反対の足でも同様に行います。
【評価の目安】 * 両足で楽に立ち上がれる: 下肢の筋力は比較的保たれていると考えられます。 * 片足で立ち上がるのが難しい、またはできない: 下肢の筋力が低下している可能性があります。特に、左右どちらかの足だけで立ち上がることができない場合は、注意が必要です。
無理はせずに、安全に配慮しながら行ってください。
2. 2ステップテスト
このテストは、歩幅の広さから下肢の筋力やバランス能力、柔軟性を総合的に評価します。
【準備するもの】 * 壁際に印をつけられる場所(メジャーやテープがあると便利です) * 壁際からスタートラインまで真っ直ぐに進める十分なスペース
【テストの手順】 1. スタートライン: 壁に背中をつけ、足のつま先をスタートラインに合わせます。 2. 最大歩幅での歩行: 「ヨーイ」の合図で、できるだけ大股で2歩歩きます。無理はせず、転ばない範囲で最も大きな歩幅を目指してください。 3. 着地: 2歩目を踏み出した後、両足が揃った位置(かかと)で静止します。この時、ふらついたり、つま先で着地したりしないよう注意してください。 4. 測定: スタートラインから、2歩目の足(後方にあった足)のつま先までの距離を測ります。この距離を身長で割ったものが「2ステップ値」となります。
【評価の目安】 * 2ステップ値 = 測定距離(cm) ÷ 身長(cm) * 2ステップ値が1.3未満: ロコモの進行が疑われます。 * 2ステップ値が1.3〜1.6: ロコモ予備群と考えられます。 * 2ステップ値が1.6以上: 比較的良好な状態です。
複数回行い、最も良い記録を参考にすることをおすすめします。
3. ロコモ25(質問票)
ロコモ25は、過去1ヶ月間の生活状況について25項目の質問に答えることで、運動器の痛みや生活上の支障度を自己評価する質問票です。
【質問項目例】 * 膝や股関節に痛みがありますか? * 家の中の移動に不自由を感じますか? * 外出して買い物に行くことに支障がありますか? * 転倒への不安がありますか?
各質問に対し、「全くない」から「非常にひどい」までの5段階で回答し、その点数を合計します。点数が高いほど、運動器の機能が低下している可能性を示唆します。
【評価の目安】 * 合計点数が7点以上: ロコモの始まりが疑われます。 * 合計点数が16点以上: ロコモの進行が強く疑われます。
ロコモ25は、体力の変化だけでなく、日常生活における具体的な支障を感じているかを評価する上で非常に有効なツールです。
テスト結果から次の一歩へ
これらのロコモ度テストは、ご自身の体の変化に気づき、行動を起こすための目安となるものです。もしテストの結果が思わしくなかったとしても、必要以上に不安を感じることはありません。むしろ、早期に気づくことができたと前向きにとらえ、今から予防に取り組む良い機会と捉えることができます。
- ロコモが疑われる結果が出た場合:
- 無理のない運動を始める: 軽いウォーキング、ストレッチ、スクワットなど、ご自宅でできる簡単な運動から始めてみましょう。継続することが大切です。
- 栄養バランスの取れた食事を心がける: 骨や筋肉を作るたんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどを意識して摂取しましょう。
- 専門家への相談を検討する: かかりつけ医や整形外科医に相談し、詳しい検査や適切なアドバイスを受けることも有効です。
大切なのは、ご自身の体の声に耳を傾け、無理なくできることから少しずつ始めてみることです。健康寿命を延ばし、いつまでも自分らしく活動的な生活を送るために、今日からロコモ対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
ロコモ度テストは、運動器の衰えに気づくためのとても有効な手段です。ご紹介した「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」を定期的に実施し、ご自身の体の変化を継続的に確認することをおすすめします。
ご自身の体の現状を正しく理解し、適切な予防策を始めることで、将来の健康寿命の延伸につながります。小さな一歩が、きっと豊かな未来へと繋がるはずです。この情報が、皆様のロコモ対策の一助となれば幸いです。